上武国境(群馬/埼玉) 焼山(1540m)、帳付山(1619m)、ブドー沢ノ頭(1658.3m)、天丸山(1506.0m)、大山(1540m) 2020年12月5日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:45 天丸トンネル南口−−7:13 六助のコル−−7:50 焼山−−8:17 1572m峰−−8:26 天丸山分岐−−8:34 馬道のコル−−9:31 帳付山−−10:08 1609m峰−−10:26 ブドー沢ノ頭 10:56−−11:10 1609m峰−−11:46 帳付山−−12:29 馬道のコル−−12:32 斜面取付−−12:42 登山道−−12:51 天丸山 13:03−−13:29 天丸山分岐−−13:40 1572m峰−−13:56 大山 13:59−−14:14 1572m峰−−14:42 六助のコル−−14:47 林道−−14:50 天丸トンネル南口

場所群馬県多野郡上野村/埼玉県秩父市
年月日2020年12月5日 日帰り
天候曇後晴
山行種類籔山+一般登山
交通手段マイカー
駐車場天丸トンネル南側に駐車
登山道の有無天丸トンネル〜1572m峰:無し
1572m峰〜大山:あり
1572m峰〜帳付山:あり
県境稜線〜天丸山:あり
帳付山〜ブドー沢ノ頭:無し
籔の有無ほぼ無し
危険個所の有無天丸山のみ岩登りあり。技術的には難しくないが高度感があり落ちれば軽い怪我では済まない。県境稜線に岩が多数あるが登れないものは必ず左右どちらかに迂回可能
山頂の展望焼山:良好
大山:良好
天丸山:あまり良くない
帳付山:山頂は展望皆無だが少し西に行けば大展望
ブドー沢ノ頭:良くない
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント天丸トンネルから県境稜線をブドー沢ノ頭まで往復し、付録に天丸山、大山も登頂。久しぶりの長丁場で疲れた。県境稜線は思ったより岩が多く迂回することが多かった。人に会ったのは天丸山で1名のみ




天丸トンネルの埼玉側に駐車 トンネル脇を登り始める
植林の急斜面 立派な橋だが埼玉側は通行止め
標高1310m付近 標高1370m付近。岩っぽくなってきた
1360m鞍部へと下る 1360m鞍部(六助のコル)
1360m鞍部の祠 埼玉側に下る明瞭な道
県境稜線を西へ 気温は-3℃
標高1430m付近 標高1450m付近の熊棚
標高1520m付近 焼山東肩で岩が現れる
焼山東肩から南を見ている 焼山山頂
焼山から南〜西の展望
焼山から西を見る。いきなり岩峰 この岩峰は登れそうにないので南を迂回することに
岩壁基部に沿ってトラバース トラバース中
2つ目の1520m鞍部で尾根に復帰 1520m鞍部から西を見ている
1540m峰から見た大山。岩々している。本当に登れるのか? 次の1540m峰は岩峰
素直に南を巻く 1540m峰西側直下。岩は無い
僅かに霰が残っていた 1572m峰で大山分岐だが大山の表記なし
1572m峰から見た大山 標高1510m付近で天目山分岐。帰りに寄ることして往路は通過
天目山分岐から見た天目山。大山同様に登れるか心配になる姿 またもや岩峰登場で南を巻く
1430m鞍部。「馬道のコル」との表示あり 久しぶりに見る達筆標識。かなり古そう
次の1470m峰も岩峰で南を巻く 1460m鞍部で尾根に復帰
1490m峰付近 1490m峰西側から見た帳付山
1460m鞍部手前も岩が登場し南を巻く 1460m鞍部
次の1490m峰も南から巻くが北に引き込まれ戻る 南を巻いている途中
そのまま南を巻き続ける 標高1500m付近で尾根に復帰
標高1540m付近 標高1580m付近
帳付山山頂 達筆標識
帳付山西側の岩からの展望。西〜北〜北東に開けている
帳付山西側の岩から見た浅間山〜榛名山の展望(クリックで拡大)
ブドー沢ノ頭へ向かう。尾根入口は帳付山山頂より東側 1580m峰。樹林越しでも岩っぽい雰囲気
案の定岩峰だったので西側から巻いた 一度尾根上に戻り再び岩が出たら今度は東から巻いた
東を巻いている途中 1550m鞍部で尾根に戻る
1550m鞍部から西を巻いた 西を巻いている途中
巻き過ぎと思い石楠花の中を上へ 尾根に出たがまた岩で今度は東へ。しかし狭い棚の危険な通過
標高1570m付近で尾根に戻るため上へ 標高1580m付近。尾根に復帰。この先は巻く必要なし
1609m峰。この先はブドー沢ノ頭まで岩無し 樹林越しのブドー沢ノ頭
ほんの僅かな雪 ブドー沢ノ頭直下
ブドー沢ノ頭山頂 達筆標識
すかいさんの標識 山頂標識ではない看板
往路で東を巻いた箇所を西に巻いた。こちらが正解 1540m鞍部。これでしばらく岩とはお別れ
帳付山山頂再び 帳付山西側の岩から見た天丸山、大山
1430m鞍部から北に下る登山道へ入る 1430m鞍部から見た天丸山。岩峰だ
登山道はトラバースしつつ緩やかに下る 大きな谷で登山道を離れて尾根に取り付く
1450m鞍部手前で尾根に出る 天丸山の岩壁直下
1ピッチ目の岩壁。短い 2ピッチ目の岩壁。一番長く急だがホールド多数
3ピッチ目の岩壁。今までより傾斜は緩い 昭和52年の標識。45年近く前でも文字がはっきり読める
天丸山山頂 木製の達筆標識
裏面に設置年月あり。昭和56年11月らしい。約40年経過! 天丸山から見た帳付山
往路で気付かなかった1572m峰の達筆標識。倉門山とのこと 1572m峰から大山に向かう
尾根が明瞭化するまでルートが分かりにくい 尾根に乗っても道は薄い。でも藪は無い
大山も岩場を登るが天丸山より格段に安全 最後の登り
大山山頂 大山から見た天丸山
大山から見た西〜北の展望
大山から見た浅間山。雲はほぼ取れた 大山から見た八ヶ岳
大山から見た帳付山〜ブドー沢ノ頭 大山から見た両神山
焼山手前から稜線南を巻き始める そのまま延々と巻いたら焼山も巻いてしまった
標高1500m付近で県境稜線に復帰 1360m鞍部(六助のコル)
道は無視して南西に下る谷へ 数年前に枯れた笹の跡。以前は笹藪だった様だ
おろらく鞍部から続く道。ジグザグに下っていた 沢に挟まれた小尾根で林道に出た
1360m鞍部に登る道の入口 山吹トンネル東口
トンネル入口天井にはスズメバチの巣 ゲート到着


・群馬県内で地形図記載の山で未踏は西上州のみとなった。この冬は長野からも比較的近い西上州に通うことにするが、まだ冬の初めて比較的暖かいうちは雪が降る前に標高の高い山を片付けることにして、まずは群馬/埼玉県境の山々を歩くことにした。今回のターゲットは天丸トンネル付近の山々で、私が知る範囲ではこれより西側の県境付近では焼山、大山、天丸山、帳付山、ブドー沢ノ頭の5山がある。天丸山は地形図記載だが残る4つは日本山名事典記載の山だ。

・地形図に登山道が書かれているのは天丸山と大山、帳付山だ。破線の起点は社壇ノ頭に登った時に使った林道で、昨年の台風でも林道は崩れることなく通行可能だった。おそらく今年も通行可能だろう。昨年は埼玉県境まで通行可能だったが、今年は大きな台風は関東に来ていないので昨年と同様だと考えていいだろう。

・久しぶりに内山トンネルを抜けて群馬入り。夜の気温は-2℃だったが路面凍結は無し。夏タイヤでも問題なかったが、日曜の帰りは朝になるので気温は今より低くちょっとヤバいかも。チェーンは積んでいるが、本格的にヤバい路面状況だったら上信越道で帰ればいいだろう。

・下仁田から南牧村、湯の沢トンネルを抜けて上野村へ。さらに天丸トンネルへと続く林道に入るが、昨年同様に埼玉への通り抜けはできないとの案内看板のみで、どうやら県境までは行けそうだ。昨年は雪の日だったので積雪した道路を上がったが今回は乾いた路面で夜中でも安心して走行できた。

・天丸トンネルの群馬側から県境稜線に登ってもいいのだが、埼玉側なら日中は日差しがあって戻ってきたら車の中が温まっているはずなのでトンネルを抜けて埼玉側の入口に駐車。その先でゲートが閉じていた。トンネル出口東側は大きく崩れ、台風の影響があったことを物語っていた。

・天気予報では南ほど天気が悪いと言っていたが、この付近は明け方に曇って僅かに雪が舞った程度でその後は晴れた。気温もこの時期としては高めらしく車の窓ガラスの水滴は凍らなかった。

・本日の装備は防寒長靴のみで雪の装備は持たなかった。さすが関東で周囲を見渡しても雪は皆無。これならスパッツやアイゼンは不要だろう。今回は山用の防寒着を持ってくるのを忘れてしまい、普段、室内で使っている防寒着を持っていくしかなかった。これは風をブロックできないので雨具を併用して風を防ぐしかないし、重いのが難点だ。日中は気温が上がるとの予報であり出番は朝だけだろう。

・朝飯を食べて出発。トンネル脇から適当に斜面に取り付いて登り始めたが、ここでちゃんと地形図を見ておけば無駄な登りをしないで済んだのだった。トンネルから適当に登っても1360m最低鞍部(六助のコル)に出るだろうと思ったら、最低鞍部東側の1390m峰てっぺん近くに出てしまった。

・六助のコルには祠があり、南北ともトラバースするように斜めに道が下っていた。植林帯の埼玉側に下る道の方が濃く、林業作業用の道として使われているようだ。

・この先は県境稜線を進む。道があるかと思っていたが、六助のコルの東側に上がる箇所には朽ちた木の階段があったが、西側には道があるようには見えなかった。ただし、関東らしい落葉樹の自然林で藪は無いので、道の有無は関係なく歩ける。

・焼山に向けては落ち葉が積もって滑りやすい急な登りで、何となくジグザグに踏跡か獣道があるような無いような。

・登り切った焼山東肩より先は岩っぽい尾根の連続で、肩より僅かに進んだ岩の小ピークが焼山だった。山頂標識は無く、帰宅後にGPSの軌跡を確認してここが山頂だと分った場所だった。岩峰なので展望は良く、天気予報通り南は雲が多く奥多摩は見えなかった。西には上信国境の向こうに八ヶ岳北部が頭を出していた。浅間山は雪雲の中。

・この先は岩峰の連続で危険で登れない箇所が登場する。左(南)に下る踏跡らしき筋があったのでそれに従って岩峰の基部に下り、以降は基部に沿って高度をできるだけ下げないようにトラバースしていく。おそらく岩峰のてっぺんまで10m程度だろうか、それほど巨大な岩場ではない。おかげで大きく迂回する必要はないので労力の節約になる。

・右手の岩壁が切れたところで尾根上に復帰。そこは焼山から西へ2つ目の1520m鞍部で、ここを境界に東側は岩壁、西側は普通の尾根とはっきり分かれていた。

・次の1540m峰も岩が登場し南へ迂回、岩の基部をトラバースして県境稜線に復帰。この後はばらく岩の登場は無し。

・尾根上をまっすぐ進んで1572m峰に達すると、北側にUターンするように鋭角に下る道が分岐し、下る方向には案内は出ていないが県境稜線を西へ進む方向には「天丸山」の案内が出ていた。ここが大山への分岐だろうが、途中で見た限りでは県境稜線から大山につながる尾根の後半は岩壁で、あれを安全に通過できるのか心配だ。もしかしたら西側から見ると崖ではなく普通の尾根なのかもしれない。大山は帰りに立ち寄ることにして往路ではパス。

・大山分岐で登山道に乗る。これまでは部分的に踏跡や獣道程度の筋はあったが、登山道は明らかに登山道たる濃さがある。また、目印も多数付けられていて、尾根上は岩で進めない箇所では迂回路がテープ等の目印で示されていた。間違って獣道のような道に乗ってしまっても目印が無くなるし、行くに従って道が薄くなるのでミスったことに気付けるだろう。岩を迂回する箇所で1か所だけ間違ったが目印のおかげで正しいルートに乗ることができた。

・1572m峰を下る途中、標高1510m付近で天丸山分岐が登場。ここには標識が出ていて天丸山方面も同等の濃さの道が続いていた。ただし天丸山も大山同様に南側に岩壁が見えており、どこから登るのだろうと思いを巡らす。大山同様、ここも帰りに立ち寄る計画で往路ではパス。

・1430m鞍部には「馬道のコル」の達筆標識あり。地形図によるとここから林道まで破線が描かれているが、北斜面を巻くように下る道は明瞭で林道までまともな登山道が続いているようだ。

・「馬道のコル」から帳付山までの間には岩峰があるが、ヤバい所は巻いてしまうので問題なし。ここも西上州エリアの一角なので岩が出てきても不思議ではない。

・帳付山が近付くと落葉樹林から桧樹林へと変わり周囲が暗くなる。植林なのか自然に生えたのかは不明。冬でも日が当たらない針葉樹林は寒くて心地いいものではない。

・傾斜が緩むと帳付山山頂に到着。ここにも達筆標識あり、というか達筆標識しか無かった。山頂は岩っぽさは無く桧に覆われて展望は皆無。ただし、西側が明るいので行ってみると岬の先端のような岩尾根が突き出していて、足元は切れ落ちて西〜北側の展望がいい。浅間山は雪雲の中。八ヶ岳は北八が少し頭を出していた。往路では雪雲で見えなかった谷川岳周辺は帰りには真っ白な姿を現した。

・次はブドー沢ノ頭。今回のルートの折り返し点だ。樹林が深く先が見通せないので帳付山山頂から適当に南へと向かったが尾根の続きが無く、進路を東へと変更して顕著な尾根に乗った。山頂から東に少し下った地点から南下するのが正解のようだ。私はルートを探す時には地形を見るのが中心で目印は気にしていないので、山頂手前から南に向きを変える県境稜線に目印があるのかどうかは分らない。

・尾根がはっきりすればそれを辿るだけ。1540m鞍部から先は岩が目立つ尾根に変わり、最初の岩は西から巻き、一度尾根に戻って再び岩峰にぶつかったら今度は東から巻いた。ただしここは西からも巻くことが可能。

・1550m鞍部で尾根に戻り、すぐに次の岩が登場して西を巻いた。しかし大きく巻きすぎて岩の基部が見えなくなったので途中から上を目指し標高1580m付近で尾根に復帰するが、これまたすぐに岩に突き当たって今度は東を巻いたがこれは失敗。岩壁の途中にある狭い岩棚をトラバースする羽目になった。眼下は落ちれば軽い怪我では済まない高さでほぼ垂直、かなり慎重に行動した。棚を過ぎると岩は終わって急斜面となり、上に鞍部らしき尾根の凹みが見えたので急登して尾根に復帰した。これ以降はあからさまな岩は無く、尾根上を素直に歩くことができた。ここまでの経験で1540m鞍部から1609mまでの間の岩は巻くならほぼ全て西側を巻くのが正解。往路では気付かなかったが帰りには西側を巻くルートで目印を散見した。

・1609m峰は岩っぽさは皆無で針葉樹に覆われたピーク。その先は明るい落葉樹に覆われた普通の尾根に変わり、素直に尾根上を歩けばいい。やはり安心して歩けるのはいいことだ。1609m峰の南側では周囲より雪が多く残った区画があった。多いと言っても積雪は1mm程度しかなかったが。風向き等で吹き溜まったのだろうか。

・最後の緩やかに登った先のピークが待望のブドー沢ノ頭山頂だった。山頂標識は達筆標識と「すかいさん」の標識の2つが存在する。落葉樹林に囲まれているので展望は全く見えないというわけではないが、残念ながらいいとも言い難い。この地域でこの標高では展望は最初から期待していないけど。地形図に山名が記載されていないピークであるし、どこからも距離がある山なので休憩中に他の登山者がやってくることはなかった。ただ、狩猟の時期で発砲音が聞こえていたので場合によっては猟師と出くわす可能性も。人が少ないエリアだからこそ獲物と間違えられないよう服装には要注意だ。

・ここまで休憩無しで歩き続けたので山頂で休憩。トンネルからここまで細かなアップダウンの連続で、帰りも下り一辺倒ではなくまたアップダウンの繰り返しなので疲れそうだ。おまけに帰りは天丸山、大山の2つの「オプション」に立ち寄る予定で、それぞれが県境稜線から群馬側に突き出した枝尾根にあり、県境から下って山頂に立って県境へと登り返すため、さらに労力がかかる。時間はたっぷりあるのでのんびり行こう。

・復路も基本的には往路を辿るが、1609m峰以降の岩峰群は南側から登れそうなものは全て登り、登れそうでないものは西を巻いたが。往路で登れそうに見えず巻いた岩も復路側からだと普通に登れて、下り(往路での登り=登らなかったルート)も普通に下れてしまった箇所がいくつかあった。ただ、どうしても下れず行き詰った岩も2か所あり、そこは少し戻って西を巻いた。

・1540m鞍部まで達すればしばらくは岩は無いので素直に樹林の尾根を登り返す。岩場の迂回箇所等は何となく踏跡(獣道?)が見られたが、この最後の登りの尾根には踏跡は見られなかった。尾根幅が広いので歩くルートが分散するからだろう。

・往路と同じく帳付山山頂より東側で東西方向の県境稜線に合流した。ここからはしばし登山道を歩く。お昼の時間帯なのでもしかしたら帳付山では人がいるかと思ったら無人であった。

・往路の経験があるので復路では岩を巻くルートで迷うことは無かった。良く見れば目印は多数あるので、ルートが怪しくなったら目印が見られる場所まで戻り、周囲を良く見渡して目印がどう続いているのか探せば正しいルートを見つけられると思う。ルートを見失いやすい個所は岩を巻くために尾根直上から左右どちらかに巻き始める地点だ。

・天丸山へは「馬道のコル」(標高1430m鞍部)から標高1510地点まで登り返して枝尾根に入るのだが、そこから1450m鞍部まで下るので無駄な登りがある。効率的に登るために「馬道のコル」から北に下る登山道に入り、天丸山南側の1450m鞍部に近い谷地形で登山道を離れて斜面を適当に登って1450m鞍部を目指すことにした。幸い、この登山道は最初の内は大きく高度を下げないでトラバースして天丸山の尾根に接近しているので都合がいい。

・「馬道のコル」から林道へ下る登山道は道幅が広く良好。明らかに現在でも使われていると思われる。右手斜面を見上げながら天丸山へ続く尾根に最接近する場所=登山道が高度を大きく落とし始める手前の谷地形で斜面に取り付くことにした。この先の山側斜面はは岩場で登ることができないのでちょうどいい。周囲はまばらで背の高い落葉樹の自然林で地面付近に藪は無く、獣道らしき筋が縦横に見られる。斜面の上の方を鹿が駆け抜けていったので鹿道なのだろう。石ころが積み重なった緩い地面で登りでは少々歩きにくい。

・微小尾根に乗ってさらに高度を上げると北に最低鞍部が見えてきたので左にトラバースして1450m鞍部に出ると尾根上にはちゃんとした道があって一安心。

・さて問題は天丸山への登りのルート。南から見ると崖状で登れるとは思えず、西や北から迂回するのであろうか。天丸山への本格的な登りが始まる直前まで尾根上を進み、矢印に従ってやや右に進路を振ると岩の直下で、その岩にはトラロープがぶら下がっている。予想外に岩場を突破するのがルートであった。

・岩場は垂直ではないが相当な傾斜。ただし岩の表面はゴツゴツして凹凸が豊富で手がかり、足がかりには困らない。少なくとも登りでは3点支持を守ればフィックスロープは使わずに自然地形だけで登れそうだ。

・長靴で本格的な岩場を登るのは初めてだが、ゴム底なので滑ることはなく問題なく登れた。岩角や灌木を手掛かりにして足の位置だけ気を付ければ、少なくとも登りではフィックスロープの助けは不要だった。見た目よりも実際に取り付いてしまえば難しくはなかった。

・岩場は3ピッチに分かれているが2ピッチ目が最も長く急であった。前後に登山者は皆無なので落石を気にせずに気楽に登ることができた。ただし、これまでの疲労が蓄積して足に影響が出ていたので、この傾斜の登りは体力的にきつかった。

・3ピッチ目が終わっても岩場は続くが傾斜は緩やかになり、フィックスロープも地面を這った状態で使う人はいないように思われた。45年近く前の昭和の時代の標識が今でも残っていた。

・天丸山山頂も岩っぽくて展望が開けた場所かと思いきや、山頂部は平坦で灌木に覆われて岩峰のてっぺんぽくない場所であった。山頂標識は2つあり、一つは良く見る形式とは異なって木製だが「達筆標識」に間違いない。裏面を見ると設置年月は(昭和)56年11月とのこと。じつに30年以上経過してなお生きている。木製でも塗装がしっかりしていると長寿命のようだ。

・ブドー沢ノ頭から休憩していないのでここで少し休憩。風は無く日当たり良好で快適だ。これから大山に寄ってから下山となるので、おそらくトンネル到着まで2時間程度かかるだろう。それでも下山予定時刻は午後3時前後なので暗くなるまでに十分に余裕がある。のんびりていいだろう。

・休憩を終えて大山に向かう。天丸山の崖の下り始めで予想外にも登ってくる登山者を発見。この時間に登ってくる人がいるとは思わなかったので小石を落としてしまったが、登山者は真下にいなかったので良かった。あちらも落石に気付いて上を見上げてこちらに気付いた模様。まだ私は危険地帯に入っていなかったので先に上がってもらう。岩壁帯の2ピッチ目と3ピッチ目の境界であちらが待機に入ったのでこちらが3ピッチ目を下ってすれ違い。お互いにこの時刻に他に登山者がいるとは思っていなかった。登ってきた男性は本当は両神山に登る予定だったが、志賀坂トンネルから八丁トンネルへ抜ける群馬側の道路が不通であることを知らずに群馬側から入ったために県境までたどり着けず、代わりに諏訪山に登って本日2山目とのこと。話を聞くと奥多摩、奥秩父を中心に登っているようだ。昔は沢登りをやっていたとのことで、登山道の薄いルートでも歩いているようだ。私がトンネルまで車で入った林道の途中で駐車し、大山分岐で県境稜線に上がって帳付山を往復後、馬道のコルから林道へ下ろうとしたが途中で道があやふやになり目印も無くなったので、往路の道から帰ろうとしたついでに私と同じく天丸山南鞍部に適当に上がってやってきたとのことだった。私が歩いたより先の方で分かりにくい部分があるのだろうか。

・長い立ち話の後に分かれた。彼は大山方面から帰るので私が大山に登って県境稜線まで戻る間にまたすれ違うかも。

・岩場は登りより下りの方が厄介だが、登りで慣れたせいか下りの方が高度感を感じずに安心して下れた。フィックスロープは安全確保のバックアップでちょっとだけ使った。

・帰りは登山道を歩いて県境稜線へ登り返した。大山へはさらに登って1572m峰から北の枝尾根に入るが、往路では気付かなかったが1572m峰には達筆標識があり「倉門山」と書かれていた。帰宅後に日本山名事典に記載されていないか確認したが、記載されていなかった。

・大山分岐に入ってすぐ、道は思ったよりも薄くいきなり道を失ってしまったが、下方に尾根は見えているのでそちらに適当に下ると右手から登山道が合流。全体的にそうだが藪は無いのでここのように尾根が不明瞭でただの斜面を下るような場所では登山道が薄いとどこでも歩けてしまうため、藪が無いことでかえって道が分かりにくい。逆に言えば道を歩く必要はないのだが。

・尾根が明瞭化しても道は意外と不明瞭。登山道は尾根上から左の谷に降りるのだが、どこが降り口なのか全くわからなかった。目印は見えたのでそれに従って下ればいいのだろうが、天丸山の道よりも確実に薄いようだ。

・大山も天丸山同様、南側は岩壁で登山道も同じように岩壁を登るように付いていた。ただし天丸山よりも難易度は格段に低く、フィックスロープがある箇所でも下りでも使う必要はなかった。一番ヤバそうな岩は左から迂回するようになっていた。

・天丸山と違って登り切ったら山頂ではなく偽ピークで、樹林帯を横移動して山頂に到着する。大山山頂もそれほど岩っぽくない場所だが天丸山よりは展望が開ける。天丸山が良く見えるが、山頂南側の岩壁はこちらからでは灌木の生えた斜面にしか見えず、登ったルートは見えないようだった。おまけに傾斜が緩いように見えた。それともこれが実際の傾斜だろうか。

・西側には上信国境山脈の向こうに八ヶ岳の姿が。見えているのは北八ヶ岳と赤岳、横岳。12月なのに白さは皆無。ここからでは遠いので良く見えないのだろうが、雪があっても大した量ではないのは間違いなさそうだ。今年は雨が少ないので冬型の影響が及びにくい南部の高山は積雪が少ないのだろう。雪は少なくとも気温は下がっているだろうけど。

・大山を下り県境稜線に登り返す途中で天丸山ですれ違った男性と再遭遇。彼はこの先は下りのみなので、おそらく私より早く車に到着するだろう。こちらはまだ1時間くらいかかりそうだ。

・1572m峰に登り返して県境稜線を東へ。焼山までは大きく下ることなくアップダウンの連続なので体力的にも精神的にも疲れる。焼山西側の1520m鞍部からの岩は南を巻くが、帰りは延々と巻いたら焼山も巻いてしまった。往路で登ったので問題ないけど。

・焼山より先は岩はほとんど登場せず落葉樹に覆われた尾根を下っていくが、大量の落ち葉に急な下りでは滑りやすい。ジグザグった薄い獣道のような筋を辿っていく。

・1360m鞍部(六助のコル)から南側へ下ると思われる西へトラバースするような明瞭な道が下っているが、南側のどこに下されるか分からないので道は無視して南へまっすぐ下る谷を降りた。特に危険個所は無く藪も無く歩きやすかった。鞍部から下る道と思われる道と遭遇するも、ジグザグを切っているので全てショートカットした。

・最後は天丸トンネルから西の山吹トンネル入口付近の枯れた沢で林道に出た。林道付近は道は不明瞭で斜面を見上げても道があるようには見えないが、良く見ると立木に目印が巻かれているのが発見できるだろう。枯れた沢に挟まれた斜面を登ればそのうちに道がはっきりする。

・山吹トンネル入口の天井には立派なスズメバチの巣がぶら下がっていた。当然ながら今の時期に蜂はいないので安全。スズメバチは岩がオーバーハングした箇所など雨が当たらない場所を好んで巣をかけるが、人工物では屋根の庇が定番だがトンネルは初めてかも。

・ちょっとだけ林道を歩いて施錠されたゲートを越えて駐車箇所へ。車は日陰に入ったばかりで道路の反対側はまだ日が当たっていたので、そちらに車を移動して着替えた。


・今回の県境は思ったよりも岩が多く、変化があって楽しめるコースだった。ただし細かなアップダウンの連続で帰りにも体力を消耗するのが難点。登山道があるのはコースの半分程度で、残り半分は自分でルートを探す楽しさあり。道が無いとは言っても藪があるわけではなく、県境ということもあってそれなりに人が入っていると思われる。周囲を良く見れば目印があると思うが派手な目印は無いようで、気にしないで歩いていると目印にはほとんど気付かない。藪山としてのグレードは高いわけではなく、一般登山道歩きのみからステップアップするにはいいコースかもしれない。

 

都道府県別2000m未満山行記録リスト

 

日付順2000m未満山行記録リスト

 

ホームページトップ